看護師の人手不足を解消するためには、2つの対策を行うことが欠かせません。1つは看護師になりたい人を増やすこと、そしてもう1つは離職率を下げることです。多くの場合、人手不足を解消しようとすると前者に力を入れがちですが、同時に後者にも力を入れないと根本的な解決には至りません。というのも、どれだけ多くの人が集まっても定着しなければ、結局、人手不足を繰り返すことになってしまうからです。両方の対策を同時に行うことが人手不足解消の近道と言えるでしょう。
具体的には、まず、看護師を希望している人に望ましい環境を整えることが重要です。看護師に全く興味のない人に看護師になりたいと思わせることは至難の業です。それよりも、看護師になりたくても様々な理由から諦めてしまった人に焦点を当て、どうしたら看護師になってもらえるかを考えた方がずっと有効と言えます。奨学金などの制度を整え、金銭的な負担を軽くすることや養成所を増やし、学びやすい環境を整えること、そして社会人が働きながらでも看護資格を取れるようにするなど、出来ることは多々あります。
また、看護師の数を増やすと同時に、看護師の離職を食い止める努力が欠かせません。専門的な勉強をし、国家資格を取ってまで看護師になったのに職を離れてしまうのは、働き方の選択肢が限られていることが原因と言えます。結婚や出産、自身の病気や家族の介護など、働き方を変えざるを得ない状況は多々あります。しかし、職場環境が整っていない場合、選択肢は我慢をして働き続けるか、離職するかの2択です。これでは離職率は上がるばかりで下がることはありません。働きやすい環境を整えることはもちろん、復職しやすい環境を整えることが大切ではないでしょうか。